露天風呂　福島県下郷町（木造）

今回旅館いなりやの露天風呂を造らせて頂く事になりました。現在ある浴室の外に新しく設置します。

まず排水の配管工事からとりかかります。現在ある配管を途中まで生かして、露天風呂の湯船と洗い場の排水の配管をします。

手前に見える二本の縦のパイプが露天風呂の排水のパイプです。
排水のパイプもただ繋ぐのではなく、きちんと水が流れるように勾配をつけなければいけません。
急過ぎる勾配でも良くありません。きちんとした勾配にしないと排水管の詰りの原因になることもあります。

露天風呂に使われる石が搬入されました。湯船の縁や側面、洗い場の縁などに使う予定です。一つ一つ違った表情をしていて石を選ぶのにもきちんと使い方を考えてそれにあった石を選ばなければいけません。まだほんの一部ですが、選ぶのにだいぶ苦労したようです。

排水の配管が完了し、露天風呂全体の基礎の工事になります。地盤を掘り下げ、基礎の地盤が造られます。この上にコンクリート基礎や湯船の躯体が設置されます。この地盤造りもとても重要な工程です。

湯船の部分の捨てコンが打設されました。この上に湯船の鉄筋が配筋され型枠が組まれます。

湯船の鉄筋が組み終わり、立ち上がりの型枠が組まれていきます。

湯船の型枠も組み終わりました。湯船の部分はｺﾝｸﾘｰﾄの継目が無いようにします。立ち上がり部分と床面の部分を一度でｺﾝｸﾘｰﾄの打設が出来るように内側の型枠を浮かしてあります。ｺﾝｸﾘｰﾄの継目は水が浸入しやすいので継目がでない様に施工しました。

湯船の基礎が完了して、露天風呂の外周の基礎が同じように立ち上がりました。その後に洗い場の床の下地が始まりました。ある程度の高さまで良く締め固めながら砕石が入れられます。その後鉄筋が配筋されました。200mm間隔で配置されています。

鉄筋の配筋が終わるとｺﾝｸﾘｰﾄが打設されます。同時に柱の敷石になる石も配置されました。この上に柱が立ち上がります。

湯船の防水処理が施され、その後石を貼り付ける作業になります。今回は奥行きがあまり無いので湯船があまり狭くならないようになるべく厚みの無い石を選んでもらいました。業者さんもこの石選びには大変苦労されたようです。

いよいよ屋根の墨付けが始まりました。もちろん一本一本大工さんの手で墨付けされます。材料は水にも強い国産の桧が使われます。香りも特徴があり桧のチップを浴槽に入れたりする事もありますね。

湯船の石貼りの作業もだいぶ進んできました。湯船のふちの石も配置され、かなり形が見えてきました。

湯船の石張りが終り、湯船の入口に階段になる石が設置されました、湯船の深さが650mmあるので楽に出入りが出来るように階段を付けます。

墨付けが終り、刻み作業に入りました。墨付けされた通りに刻まれます。化粧材(目に見える部分の材料)なので慎重に刻まなければなりません。ちょっとした誤差が仕上がりにとても影響します。

刻まれた材料です。材料の隅み書いてある文字は番付と呼ばれる印です。この文字でどこに使う材料なのかを見分けます。

最後の石張りの作業に入りました。湯船・洗い場の床面に鉄平石と呼ばれる平らな石が敷き並べられました。

刻みの作業も終り、建て方が始まりました。今回4本の柱は、石の上に単独で立ちます。自然石なので形が複雑です。柱の根本を一本ずつ彫刻ノミで石の形に削り取ります。これがなかなか大変な作業です。

根本が削り取られ石の上に据え付けられました。石と柱の取り合いが綺麗に収まっています。

立て方も進み垂木も打付けられました。木材同士の取り合いも綺麗に仕上がっています。

屋根の形も形になってきました。施主様も気に入ってくれたようで、完成を楽しみにしているようです。

屋根の部分と仕切り壁の部分に構造材と同じ種類の桧の化粧板が張られました。

かなり露天風呂らしくなってきました。最後に既存の建物との間に壁を作って仕切ります。下地材も厚み30mmの物が450mm間隔で組まれています。

仕上げの材料も同じ桧材がつかわれています。既製品ではなく、大工さんの手で加工された桧の板です。

お湯の出口です。これも大工さんに頼んで作製してもらいました。完成してしまえば簡単そうに見えますが、こういった細かい物の方が手間がかかったりします。